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【佐藤工業】2019年6月期連結業績予想は売上総利益で増益確保 IT投資、新技術開発進め、得意分野を広げる

 土木・建築の総合建設会社、佐藤工業(本店富山市、社長宮本雅文氏)の2019年6月期連結業績予想は、大型物件の受注強化で工期が長くなる傾向に加え、資材費や労務費の上昇懸念はあるが、国内、海外工事の生産性向上を図り、売上総利益率で前々期並み水準ながら、売上総利益124億円と18年6月期に比べ1.6%の増益を見込む。今後の見通しについて「IT投資や新技術開発を進め、高度の技術が求められる大型工事など得意分野広げ、品質ブランドを確立したい」(宮本社長)方針だ。

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(写真1)芝生機能を維持するため、地中の温度を制御するシステム「ソルコン」を採用した、ノエビアスタジアム神戸

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(写真2)シンガポール建築建設庁より「BCA AWARDS 2018」を受賞した、シンガポール・ベンクーレン駅。同国の地下鉄では最大深度、最大床面積の駅舎。現在も発進立坑から4本のシールドトンネルを3本同時に掘削する工事が進む。

 18年6月期は粗利益率8.6%に
 18年6月期単体の受注高は1,662億円で352億円増えた。内訳は、土木(701億円)で23%増、建築(949億円)で30%増といずれも大きく伸び、海外工事は273億円にとどまった。一方、売上高は1,255億円と6%減少、土木(561億円、△6%)、建築(684億円、△5%)、海外工事も189億円となり159億円減った。反面で大型工事中心に施工管理の改善、生産性の向上が奏功し、売上総利益率は8.6%(土木8.6%、建築8.5%)と前期比1.9ポイント向上した。営業利益は62%増益の34億円、経常利益も50%増益の36億円となり、配当は4円増配して1株10円とした。
 3カ年計画の最終年度になる19年6月期も堅調な業績が見込まれる。受注高こそ「技能職などの人手不足がひっ迫し、施工体制の基盤に応じて受注を絞り込む」(宮本社長)ため、単体で1,560億円と6.2%減少とみているが、売上高はリニア中央新幹線や大型建築など期をまたぐ工事の進捗で連結1,698億円、単体1,570億円とそれぞれ323億円、315億円の増収を見込んでいる。中でも伸びの大きいのは海外建築工事。単体で受注高470億円、売上高325億円としているがいずれも期全体の増収分に相当する。

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好調な海外物件、シンガポールでは外資系データセンター
 海外工事の好調は、シンガポールのIT投資と医療施設。シンガポールではクラウド向けデータセンターの大型施設が日系、外資を問わず次々と誕生、「日本を含む世界の大手クラウドサービス事業者が、アジア向けのサービスを地震の少ないシンガポールや香港のデータセンターから提供しているが、企業のクラウド利用が進むにつれ、IT投資そのものがクラウドを運用するデータセンターに集約されるだろう。当社は2016年に外資系のデータセンターを手掛けて以来、今期も大型物件を受注し同分野の実績をさらに重ねていきたい」(同社長)。
 また医療施設は日本の政府開発援助(ODA)案件として、ミャンマーマグウェイ市で計画されている「マグウェイ総合病院整備計画」の建設工事を単独受注。産科や婦人科、新生児ユニット、救急部門、手術部門などの機能が入る新棟を建設して、総合病院の老朽化や病床数不足などの解消と、医療サービスの向上につなげる整備事業。2020年4月に完成の予定。これを足掛かりに、2011年の民政化以降、積極的な市場開放政策を背景に急速な経済発展が期待されている同国での事業拡大を目指している。

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  (写真3)ミャンマーマグウェイ総合病院計画

 大型アリーナの受注増やす、3次元形状の複雑な形状の建物も

 国内工事でも官民協働事業による地方都市の再開発事業、全国的に建設計画が相次ぐ民間主導のアリーナプロジェクトなどで受注を増やしている。特にスポーツや大規模なイベントを開催できるアリーナは、初の民間運営型のゼビオアリーナ仙台をはじめ函館アリーナ(北海道函館市)、今年9月に完成した防災拠点としての機能を備えた、最大5,000人、災害時には約3,000人収容できる東北最大級の由利本荘防災公園アリーナ(秋田県由利本荘市)と立て続けにプロジェクトを手掛けてきた。最近では、ぴあが20年の完成を目指して横浜市みなとみらいに建設中の1万人収容のMMアリーナ(仮称)で設計施工を担う。
 施工技術の開発でも新工法やIT活用の取り込みを急ぐ。今年1月にオープンした「富士山世界遺産センター」(静岡県富士宮市)は、3次元形状という難易度の高い複雑な形状の建物にBMIを導入した同社初の施工だ。BMIは初期段階にバーチャルの建物を構築することで設計や施工のミスを減らすことが可能な手法で、同センターは、「逆さ富士」を表現した木格子が目を引くその特徴的な意匠で大きな注目を集めた。

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(写真4・5)逆さ富士と展示棟スロープ、富士山世界遺産センター・(静岡県富士宮市)、木格子の3次元局面を持つ特徴的な意匠で注目される外観。展示棟の1階から5階をつなぐらせん状のスロープを歩くと、静岡県の特色である海からの富士登山を疑似体験できる。タイムラプスの映像を見ながら全長193mのらせんスロープを歩くと、静岡県の特色である海からの富士登山を疑似体験できる。 

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(写真6=左)みなとみらいに、1万人収容できる2020年春完成予定の音楽アリーナ「ぴあMMアリーナ」(神奈川県) 

(写真7=右)防災拠点としての機能も備えた、由利本荘アリーナ(秋田県)

 国土交通省は、施工のあらゆる工程にICT技術を活用する「i-コンストラクション」を推進し、2025年度までに建設現場の生産性を2割向上させる方針を掲げている。同社は昨年に土木事業本部にICT推進部を設置。小型無人機「ドローン」による3次元測量、ICTに対応した最新型建機の導入やAI解析機を用いたコンクリート調査など、トンネル工事など現場の作業指導や技術開発などにICT技術を活用していく。